災害救助犬について








災害救助犬は災害時にガレキなどに埋もれて行方不明になっている生存者の発見をするのが目的の犬です。生存の確率は時間と共に下がります。そのため、災害発生後24時間以内、冬季では12時間以内に発見しなくてはなりません。海外や他府県からの救助犬を待っているのでは間に合いません。災害が起きた時にすぐに駆けつけることのできる、地域に密着した地元で活動のできる災害救助犬チームが必要です。しかし、人命及び犬の命に関わる以上、ボランティアであってもプロでなければなりません。災害に対する深い知識、救助に関する高度な技術及び、人命を尊重する精神を持っていなければなりません。
同時に自分の犬を愛し、正しい方法で訓練をしなくてはなりませんし、災害時に助言を与えてくれる医学,建築学などの様々な分野の専門家、情報を的確に伝えてくれる情報基地、必要物資を調達してくれる後方支援団体等を組織し、実際の災害に対応できる専門家組織にする必要があります。
災害救助犬の重要性が社会及び関係省庁に認知され、災害救助犬の普及を図り、実際の災害時に出動し、一人でも多くの人命の捜索救助に携わるためには、一個人ではなく、信頼性の高い法人として活動する必要があります。そのために特定非営利活動法人愛知災害救助犬協会を設立しました。



大地震や爆弾テロなどで起こった建物倒壊時にがれきの下の生き埋めになった人を見つける犬を災害救 助犬という。災害救助犬は、人間から発せられる臭い(”浮遊臭”といいます)を優秀な嗅覚をもって嗅ぎわける能力を備えかつ、人を捜索・救助する種々の訓練を受けたハンドラー(飼い主)との緊  密
チームワークのもと、実際に現場で活躍可能な  犬のことをいう。




救助犬を目指すのに、特別な条件は必要ありません。1.人間が大好き、2.好奇心旺盛、3.遊ぶのも大好き、という犬ならば、救助犬になる素質を持っているといえます。犬種やサイズは問いません。
大型犬はスタミナがあり、高低差のある場所でも捜索活動ができます。一方、小型犬は瓦礫の隙間に入っていき、機動的な捜索活動ができます。
救助犬になるには、「人を探す」「見つけて吠える」という基本的な訓練を積み重ねたあと、年1回行われる「救助犬認定試験」に合格する必要があります。




災害救助犬の訓練方法

【初歩的遊具訓練】(生後2〜6ヶ月)
生後2ヶ月くらいよりボールや噛み棒などで遊ぶことの喜びを教え、また餌などで犬が吠え続けること を繰り返し教え込んでいく。例えば、食器に餌を入れこれをザルなどで蓋をしザルに滑車をつけた紐を結んでおいて、犬が吠えることができた時に指導手 が犬に近づくことなく紐を引くことにより餌を与えるようにするなど。特に、この時期においては十分に吠え続けることと、馴致をしっかり行っておくことが大切だ

【第一段階】(生後6〜12ヶ月)
服従訓練を教える。これがすこし入ったところで、初歩的な救助犬訓練に入るが、併せて服従訓練は休むことなく行ってゆく。最初は犬の視野内で名前を呼んだり、ボールや噛 み棒で誘いながら指導手が次第に隠れたり、吠えた 場合にのみダミーで遊ばせるなどしながら遊ぶ。そ してこれを繰り返し行う。 一回の訓練時間を10分程度とし、約1ヶ月間実施する。その後、2〜3人の特定の人で指導手が行うような方法の訓練を継続する。この段階では、限定 された人のみだが、吠え続けることを教え込むのが最大の目的となる。

【第二段階】(生後7〜18ヶ月)
第一段階で行った訓練をしながら、少しずつ場所や人を変えながら、捜索範囲を広げるとともに臭気も  出にくく、音も聞こえにくい場所に変えていき、根  気よく何回も繰り返しながら訓練を実施していく。 ただし、この段階では犬が訓練に飽きることないよ う、人手を変えいろんな人に隠れてもらい、いかなる人であっても捜しだし、吠え続けることができるようにするのが目的。

【第三段階】実践的訓練(生後1年6ヶ月〜2年)
いろんな場所を想定し、騒音・臭い・火煙・足場の 悪い場所などありとあらゆる場所において訓練を行 っていく。春夏秋冬、山川海、特殊な環境など実際 の出動を設定した環境の変化をできるだけ経験させることが必要なのだ。指導手は今までに行ってきた各種の訓練を加味し、環境の変化に応じた基本の応用を頭に置き訓練して行く必要がある。

以上の順序で訓練を進めていきますが、段階ごとに3〜4回必ず目標レベルまで到達しているかを確認しながら、訓練を進めて行かねばならない。犬年齢が2歳を過ぎた頃から、落ちつきも出始め加えて作業意欲体力も安定してくる時期なので訓練効果が向上する。また指導手もいろんな経験を積み、現場で  の状況把握能力も向上し、犬の動きや反応が良く理  解できるようになるからだ。 以上、全部の段階を終えても持続性が問題となるので、日夜継続して訓練を行ってゆかねばならない。

【訓練場所の設定】
          ・はしごを昇る(地震などで建物が倒れたりしたと きのための高いところに登る訓練
・シーソーを通る(ガタガタ動く所も通れるようにする訓練)  
     ・雪の中の人を捜す(雪山での雪崩に巻き込まれた人の救助訓練)  
・川をわたる(橋のない川も泳いで渡る訓練)  
・障碍物を飛び越える(土砂崩れなどで道路が不通の時の訓練)  
・隠れている人を捜す(人を見つけたら吠えて告知 する訓練)

捜索訓練の方法
捜索訓練の方法は、ヘルパー(遭難者・被災者役)が森の中や物陰などに隠れ、犬がヘルパーを捜し出して吠えたら、ヘルパーが犬に報酬を与えます。救助犬はヘルパーがつくりあげると言われるぐらい、ヘルパーの役割はとても重要で、ヘルパーは犬の心が良く分る人が担当するのが理想ですが、同じ人ばかり担当していたのではその人にしか反応しなくなってしまいます。そのため私たちは、犬好きな観光客等に訓練方法をよく説明した上で、ヘルパーをお願いしています。

1. ヘルパーは報酬を用意し、森の中や物陰などに頭を下げてうずくまるように、または倒れるようにして隠れます。
2. 指導手が犬に「サーチ(捜して)」等、捜索の号令をかけます。
3. 犬はヘルパーを捜し出してワンワン吠えます。
4. 犬が数回吠えたところで、ヘルパーは犬を良く誉めながら報酬を与えます。
犬がなかなか捜し出せなかったり、近くに来ても吠えなかったりした時には、ヘルパーが報酬を見せたり声をかけたりして犬の捜索意欲を高めます。

救助犬の訓練においては、犬を訓練するとともに指導手の訓練が非常に重要です。特に山岳捜索においては体力とともに高度な技術を要することもあり、日頃から鍛錬しておく必要があるでしょう。また犬と人間は対等のパートナーであることを認識しなければなりません。訓練中に犬がミスをしても、それを咎めることなく包容して、犬を勇気づけることが肝心です。

 救助犬が必要な災害や遭難はそれほど多くあるわけではありません。救助犬は、普段は普通の家庭犬として暮しています。しかしその間にも訓練を続けていないと、人を捜して遊んでもらう喜びを忘れてしまったり、足場の悪い場所を怖がるようになってしまいます。何もしないと能力も体力も落ちてきます。そうならないためにも毎日の訓練が重要です。救助犬の訓練に終りはありません。

 犬の訓練は、人間の子どもを育てることと一緒です。愛情を持って根気よくしつけていくことが大切です。しつけの基本は、して良いこと、悪いことの区別をしっかりと覚えさせることです。肝心なのは犬に信頼感を抱かせることです。人との絆ができて初めて号令を聞いてくれます。


訓練試験




服従訓練は、犬とハンドラーの信頼関係を築き、犬にハンドラーの指示に従った作業をさせる為の第一歩です。作業犬としての訓練の最初のステップとして、ハンドラーと愛犬がどのような固い絆で結ばれているかを発表する場として、この服従訓練試験(初級・中級)があります。災害救助犬を目指して訓練している方、または、犬のしつけとして日々練習に励んでいる方は気軽に挑戦してください。

捜索訓練試験(初級・中級)は、災害救助犬としての訓練の最初のステップです。見えている人や、箱に入って見えない人を「探して」、「居たら知らせる」ことができるかどうかを試すものです。救助犬を目指す第一歩として、やはり気軽に挑戦してください。



1. 服従訓練試験 初級 (旧 服従1)
2. 服従訓練試験 中級 (旧 服従2)
3. 捜索訓練試験 初級 (旧 捜索1)
4. 捜索訓練試験 中級 (旧 捜索2)


1. 受験する科目の前の段階の試験に合格していること。
(ただし、服従訓練試験初級は最初の試験ですのでその限りではありません)
(試験当日は科目の番号順に試験が行われます。当日合格すれば次の段階の科目を受験できます。)
2. 捜索訓練試験については、ハンドラー(犬の所有者とハンドラーが別の場合は所有者)が協会会員であること。(試験当日入会可)


救助犬認定試験は、救助犬として、救助犬ハンドラーとしての基本的なことが身についているかを審査する試験です。 協会の救助犬育成ステップ第2段階終了の目安になります。

1. 服従科目
2. 捜索科目
1,2両科目ともに定められた得点を得た者を合格とする。
ただし、服従科目と捜索科目のどちらかが合格点であった場合、次回認定試験においては合格点に達しなかった科目のみ受験し、前回の合格科目の得点を加算して合否を決定することができる。
(前記の試験科目免除の期間は一年とし、一年を経過した後は無効となり、再試験をする。)
  

1. 受験日の犬の年齢が15ヶ月以上であること。


1. 服従試験 0. <服従試験開始前>犬体検査(体に触れる等)
1. 紐付脚側行進(往路常歩、復路速歩)
2. 紐なし脚側行進(往路常歩、復路速歩)
3. 常歩行進中の停座と遠隔による伏臥、招呼
4. 橋渡り(不安定足場の通過)
5. 高所通過
6. トンネル
7. 不安定障害物上の歩行(瓦礫歩行)
8. 休止
2 捜索試験 1. 捜索時間12分、2名以上の要救助者を発見・告知すること


救助犬実働認定審査会は、犬とハンドラーが実際の災害現場に出動できる能力を有しているかどうか判断する審査会です。協会の救助犬育成ステップ第3段階終了の目安になります。
この審査会で能力を有すると判断されると「救助犬実働認定資格」が認可されます。(認可されたものを「実働認定犬」と呼びます。)
ただし、認可から一定の期間内に実働チームを編成して協会に登録をしないと、認可は取り消されます

  

1. 救助犬認定試験に合格し、認定資格を有する犬、又は推薦犬

推薦犬とは:
外部推薦=他団体からの申請に基づき認可する。頭数制限は無し。
チーム推薦=各訓練チームにつき1頭まで、訓練チーム責任者が試験認定犬と同等の能力を持つと認めた犬の受験を認可する)
2. ハンドラーは安全のための装備を備え、(免許有資格を条件とはしないが)無線機器による交信能力を有するもの。


<審査方針>
自主的で積極的な捜索意欲、作業意欲の持続性と行動力、新しい環境に対する適応性など、犬の作業全体の動きに主眼を置き、ハンドラーの状況判断の的確性・犬の操作性・服従性、本部との連絡の適切さ・全体的な観察力が審査の対象となる。
参考:審査簿はこちらを参照→
1. 建物内部の捜索 ハンドラーは指示された地点から犬を建物内に入れ捜索を開始する。
犬による明らかなアラートと確認されたら指示に従い犬の元に赴き確認し、救助者を退出させ、所定の地点に戻り再度捜索を開始する。
作業終了は指示による。
2 瓦礫捜索 首輪を外し指示された地域の捜索を行う。捜索場所にハンドラー立入禁止エリアが設定される。
明確なアラートが認められ申告がされても、被救助者の確認・救出は行わない。指示に従い再度捜索を開始する。
作業終了は指示による。
3 捜索時間 状況に応じて設定するが、最長20分を予定。
4 捜索対象 複数名(性別を特に定めない)
5. ハンドラーの義務順守事項 全ての行動は審査員の指示に従う。
アラートの申告は明確に、状況の報告は詳細に行うこと。
明確なアラートがなされなくとも犬が不審な反応を示した場合は、報告の義務を負うものとする。
作業開始・発見の場合の状況の詳細・作業終了等の報告については、無線機器を用いて本部との連絡を行うものとする。
6. 付記 推薦犬は一次審査での評価が基準に達しなかった場合、二次審査の対象にならない。しかし、再審査として受験する資格は保証される。。
受験者は受験日のたびに会場現場の状況や実施の条件が前回と著しく異なる可能性があることを十分承知し、認識しておくこと。また、審査においてこの差異に考慮を加えることはない。
実働チームを編成する際には第4級アマチュア無線技士以上の無線従事者免許証が必要となる。


1 ハンドラー資格
@ 犬を自ら訓練した者
A 救助犬とのチーム試験に合格した者
B 救助犬運搬車両を持つ者
C 救助犬用の装備品を持つ者
D 救助活動技術を習得し、資格試験に合格した者
E 要請のあった時に出動できる者
F アマチュア無線の免許を持つ者
G コンピューターを操作できる者
H 英語を話せる者(海外派遣要員)
I 応急救急処置の講習を受けた者

2 救助捜索隊員
@ 健康で体力のある者
A 救助活動技術を習得し、資格試験に合格した者
B 要請のあった時に出動できる者
C アマチュア無線の免許を持つ者
D コンピューターを操作できる者
E 英語を話せる者(海外派遣要員)
F 応急救急処置の講習を受けた者

3 救助技術習得科目
T ナビゲーション
  @ プロフェッショナルコンパス
  A 地図
  B 高度計
  C GPS
  D 距離測定器
U 気象
V 建物構造、建物危険判断
W 危機管理
X 災害
@ 地震
  A 台風
  B 洪水
  C なだれ
  D 土砂崩れ
  E 飛行機事故
  F 爆発
  G その他
Y 化学物質
Z 行方不明者
  @ 痴呆症
  A 自殺
  B 迷子
  C アルツハイマー
[ 野外生活
\ 動物行動学
] その他
 
4 救助犬チーム試験
@ アジリティー(ハシゴ、高所、トンネル、足場の不安定な場所等)
A アラート(目、尾、掘る、吠える)
B ガレキ捜索(時間、捜索方法、安全性の確認等)
C ハンドラーの態度(犬の扱い方、指示の適正、現場での他の救助関係者への対応の仕方 等)
D 犬の態度(服従度、捜索意欲、他の救助チームへの対応の仕方等)
E チームワーク(信頼度等)






 

*iphone アプリ 開発
*Android 開発/a>

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